軽バン・軽トラのインチアップについて
軽バン・軽トラのインチアップを考えている方へ。
ここでは軽バン・軽トラのインチアップ方法と各サイズ(12⇒14・15インチ)、及び注意点について紹介します。
軽バン/軽トラのメーカー・車種別のインチアップ方法についても紹介しています
軽バン・軽トラのタイヤサイズ表記について
軽バン・軽トラは荷物を積むことが前提なのでタイヤの強度が自家用に比べて高く設定されています。
軽バン・軽トラのタイヤをインチアップする際、重要なのが標準で装着されているタイヤの性能を維持することなのですが、軽バン・軽トラの場合、乗用車用タイヤと違ったサイズ表記となっています。
先ずバン・トラック用のタイヤの表記のそれぞれの意味について紹介します。
ハイゼットカーゴの純正タイヤを例にみてみます
ハイゼットカーゴの純正タイヤの側面に以下の印字があると思います。
年式によって二つの表記がありますのでそれぞれについて紹介します。
145/80R12 80/78N LT
- 145:タイヤ幅(mm)
- 80:扁平率(%)
- R:ラジアル構造
- 12:リム径(インチ)
- 80/78:ロードインデックス(荷重指数) 80は単輪負荷能力・78は複輪負荷能力※複輪とはダブルタイヤ
- N:速度記号 Nは最高速度で140km/h(その他J:100km/h・L:120km/h)
- LT:ライトトラック用タイヤ
LT145R12 80S 6PR
- LT:ライトトラック用のタイヤ
- 145:タイヤ幅(mm)
- R:ラジアル構造
- 12:リム径(インチ 1インチ=25.4mm)
- 80:偏平率(偏平率)
- S:速度記号(最高速度180km/h)
- 6PR:タイヤの強度
上記の何れもLT(ライトトラックの略)の記号がついています。これは軽貨物用に強度があげられたタイヤですよという意味で、乗用車用のタイヤと大きく違うところです。
重要なのは荷重能力とロードインデックス(荷重指数)
ここで重要なのが80/78で表されている『ロードインデックス(荷重指数)』です。
インチアップしてタイヤサイズ(タイヤ幅・リム径・偏平率)が変わったとしてもハイゼットカーゴで示されたロードインデックス(荷重指数)80/78で示された『荷重能力』を満たす必要があります。
※ロードインデックス80/78は、今までのプライレーティング(タイヤ強度)6PRとほぼ同等の荷重能力になっているようです。因みに8PRと同等のロードインデックスは86/84Nになります。
荷重能力はロードインデックスと充填空気圧で決まる
上でロードインデックスで示された『荷重能力』と書きましたが、この荷重能力はタイヤに印字されているロードインデックス(荷重指数)と充填する空気圧で決まってきます。
基本、充填空気圧が高くなれば荷重能力も高くなりますが、上限の空気圧を超えて充填してもそれ以上荷重能力は上がりません。
ハイゼットカーゴの設定空気圧は前輪が280kPa、後輪が350kPaなので荷重能力は前輪が395kg、後輪が450kgになります(下表参照)。
インチアップしたタイヤがこの荷重能力を維持できていればOKということになります。
以下で各サイズ毎の荷重能力について紹介します。
荷重能力 | 設定空気圧 |
325 | 200 |
345 | 220 |
360 | 240 |
380 | 260 |
395 | 280 |
410 | 300 |
430 | 325 |
450 | 350 |
軽バン・軽トラには貨物用タイヤ・ホイールの装着しか認められていなかった
ところで以前は軽バン・軽トラには貨物用のタイヤの装着しか認められていなかったのですが、法改正により荷重能力を満たしていれば乗用車用タイヤの装着も可能になりました。
またホイールについてもJWL-T(貨物用)の刻印の入った軽合金製ホイール(アルミホイール)の装着しか認められていませんでしたが、こちらも法改正により、軽貨物車などに限ってJWL(乗用)の刻印の入ったホイールでも車検に通るようになりました。
軽バン・軽トラの各ドレスアップ/インチアップサイズ
次に各サイズ別に適合するタイヤサイズについて紹介します。
因みにN-VANもエブリイもハイゼットカーゴと全く同じタイヤサイズで設定空気圧も同じですので、必要な荷重能力は上で紹介しています通り、・前輪:395kg 後輪:450kgです。
※2024年3月時点での必要な荷重能力です
12インチのタイヤホイールサイズ
純正タイヤと同じサイズになります。純正と同じサイズですので、上で紹介しました荷重能力も当然満たすことが可能です。
このサイズはオールテレン系(オフロードっぽいタイヤ)のタイヤから乗用のエコタイヤなど各メーカーから発売されていて、ある程度の選択肢はあります。
タイヤサイズ | タイヤ外径 |
145/R12 6PRや145/80R12 80/78N | 約537mm |
14インチのインチアップサイズ
今までは軽バン・軽トラック用の荷重能力を満たすタイヤは12インチしかなく、インチアップをするには荷重能力が維持できない乗用車用タイヤを装着するしかなかったのですが、現在は横浜ゴムから軽バン・軽トラの荷重能力を満たす14インチのタイヤが発売されました。
それはヨコハマの『パラダPA03』です。ロードインデックスは95/93で荷重性能を十分満たすことが可能で、タイヤ外径もほぼ純正と同じです。
タイヤサイズ | タイヤ外径 |
165/55R14C 95/93N | 約538mm |
15インチのインチアップサイズ
フジ・コーポレーションの『マイカードレスアップフォト』でN-VANやハイゼットカーゴ・エブリイに装着されているサイズを確認すると12/14インチの他、15インチや16インチを装着しているオーナーさんも多く見かけます。
N-VAN/ハイゼットカーゴ・エブリイに単純にタイヤサイズで適合する15インチサイズは以下です。
タイヤサイズ | タイヤ外径 |
165/50R15 73 | 約546mm |
165/50R15のタイヤのロードインデックスは73のものが多く、これにロードインデックス73のMaxの空気圧240kPaで充填したとしても荷重能力は365-375kgとなりますので、満たすべき前輪395kg、後輪450kgには足りませんので車検に通らない可能性が高くなります。
静的荷重と動的荷重
軽貨物のタイヤがバーストして事故になったといったニュースを私は聞いたことがないのですが、私が考える本業で配達を行う場合の15インチ選択の是非について以下に紹介しておきます。
軽バンの車両重量を920kgとして最大人員2名110kg最大積載荷重350kgを足して4で割っても1輪当たりの荷重は最大でも約345kgなので、ハイゼットカーゴなどで設定されている荷重性能395/450kgは安全マージン取りすぎじゃないの?という考えもありますが、これは静的な荷重での話です。
実際走行する際、コーナーを曲がる・急ブレーキをかけて止まる・急加速をする・高速走行時大きなバンプを拾った時など荷重移動が発生しますので常に4輪に均一に荷重がかかるわけではありませんし、車両と積載物の質量に重力以上の加速度が加わりますので、動的にタイヤにかかる荷重は更に大きくなることが予想されます。
メーカーはその辺も考慮して荷重能力を設定していると思いますので、できれば決められた荷重能力は満たしておいた方が無難だと思います。